被爆者の言葉に重み 記憶つなぎ考える契機へ 報道部 大村慧 【新人記者駆ける】

炎天下の中、千葉県内の被爆者らが追悼式に参列した=8月15日、東京都千代田区の日本武道館
炎天下の中、千葉県内の被爆者らが追悼式に参列した=8月15日、東京都千代田区の日本武道館

 「8月ジャーナリズム」という言葉がある。毎年8月、戦争について集中的に報道されることを指し、その月を過ぎると報道が少なくなることから、半ばやゆするように使われることもある。戦争報道に限らず、千葉県内なら房総半島台風や八街児童5人死傷事故など、大きな災害や事件事故が起こった日に合わせ報じることがあり「カレンダージャーナリズム」と言われることもある。

 戦争について興味、関心が高まる8月に報道することには意味がある。それでも8月だけでいいのかと思わずにいられなかった。

 今春の入社後、戦争経験者や自分が聞いた戦争体験を伝える活動をする人に取材する機会があった。書いた記事4本のうち3本が8月に紙面に載った。他の1本は7月に掲載されたが、それは7月7日にあった千葉空襲に関する記事で、いわばカレンダー通りだった。

 ただ、それでもいいと思える出来事があった。8月15日、取材で日本武道館(東京都千代田区)で開催される全国戦没者追悼式に足を運び、県内の被爆者の1人と話している時だった。「1年に1回、この日だけでも思い出してくれればいいんです」

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