臨場感あふれる筆致 作品「小丹波村」 【開館50周年記念特別展 浅井忠、あちこちに行く 千葉県立美術館学芸員寄稿】(2)

浅井忠《小丹波村》1895年、油彩・キャンバス、県指定有形文化財
浅井忠《小丹波村》1895年、油彩・キャンバス、県指定有形文化財

 1856(安政3)年7月22日、佐倉藩士の長男として生まれた浅井忠は、7歳から17歳までの間を佐倉の地で過ごします。少年時代から博学多才でしたが特にその画才は抜きんでており、73(明治6)年に上京した後、76年に日本で最初の官立美術学校である工部美術学校に第一期生として入学。イタリア人画家・フォンタネージの指導の下で洋画の基礎を学びます。

 体調不良などで開校後2年を待たずしてフォンタネージが帰国すると、後任の教師を不服として同級生たちと工部美術学校を退学し、しばらくは図画教科書の作成などに携わりつつ、仲間とともに日本各地を相互研さんの旅に出かけていました。

 80年代後半、日本の伝統的な美術の復興を唱える動きが高まり ・・・

【残り 704文字】



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