新連載小説18日スタート 「ふつうの家族」 辻堂ゆめさん、「世代」を問い直す注目作家の意欲作 本籍千葉市・地元ドライブ趣味

辻堂ゆめさん
辻堂ゆめさん
挿絵・伊藤健介さん
挿絵・伊藤健介さん

 千葉市花見川区出身の小川哲さんの連載小説「オルロージュ」は12月17日付で終了し、同18日付から辻堂ゆめさんの「ふつうの家族」が始まります。

 辻堂さんはストーリー展開の巧みさと、現代社会への鋭い洞察で、今最も注目を集める若手作家の一人。今作では「世代間ギャップ」という、誰にとっても身近なテーマに挑みます。

 100年に1度といわれる大嵐の夜、家を出た息子らを含む4人家族の関係が、1人の“侵入者”によって揺らぎ始める。お互いの秘密を探り合う家族の群像劇を通して、家族とは何か、世代とは何かを問い直す、新世代を代表する書き手の意欲作です。挿絵は伊藤健介さんが担当します。

 また、千葉日報オンラインでも会員向けに原則毎日掲載します。

◆辻堂ゆめさんコメント

 私は神奈川県藤沢市の出身なのですが、夫が千葉市の出身で、今は本籍地も千葉市です。

 最低でも年に2回は夫の実家に帰省し、近所の公園で子どもを遊ばせたり、花火大会に連れて行ったりしています。山がどこにも見えない千葉特有の広い平野をドライブすることが、私の密(ひそ)かな楽しみです。

 藤沢市も千葉市も、東京まで電車で1時間ほど。だからなのか、東京と変わらない部分と地域の独自性とのバランスがよく似ている。夫と気が合ったのも、東京への“距離感”が近かったからなのかもしれません。

 本作は私の出身地を舞台にしていますが、千葉の皆さんはきっと「ふつう」の生活感覚をここで描かれる桜石(さくらいし)家の面々と共有しているはず。自分の暮らすまちの物語だと思って読んでもらえたらうれしいです。

 ◇つじどう・ゆめ 1992年生まれ。神奈川県藤沢市辻堂出身。東京大学法学部卒業。「東京大学総長賞」を受賞。2015年、第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し「いなくなった私へ」でデビュー。「トリカゴ」で大藪春彦賞受賞。「十の輪をくぐる」で吉川英治文学新人賞候補。22年には青春ミステリー「卒業タイムリミット」がNHK総合で連続ドラマ化された。


  • Xでポストする
  • LINEで送る