2025年1月6日 05:00 | 有料記事

飯沼本家の敷地内に整備したキャンプ場。たき火やバーベキューも楽しめる=酒々井町

「将来的には蔵に訪れる人を現在の約4倍の年間20万人にしたい」と展望を語る飯沼一喜社長

江戸時代に建てられた母屋を改装し、シェフこだわりの日本料理と日本酒が味わえる「きのえねomoya」
約300年の歴史を持つ酒々井町の老舗蔵元「飯沼本家」。趣のある蔵や、古民家を改装した直売所などが並ぶ敷地の一角に、木々に囲まれたキャンプ場が併設されている。酒蔵見学や試飲を楽しんだ後に、たき火にあたりながら日本酒を味わう-。そんなぜいたくな時間を過ごせる場として、若者やファミリー層を中心に人気を集めている。歴史ある酒蔵が他にはない斬新な取り組みを進める背景には「酒を飲む人も、飲まない人にも酒蔵との接点を持ってほしい」との思いがある。
同社が商売用の日本酒造りを始めたのは江戸時代末期。自家精米を使うこだわりの酒造りを続け、近年も地酒ブームを後押ししてきた。ただ、日本酒市場はライフスタイルの変化や人口減少などを背景に縮小。国税庁によると、清酒の課税数量は1973年の177万キロリットルをピークに、2022年には41万キロリットルまで減少している。
「今まで通り酒を造るだけでは日本酒は選ばれない」。16代目の飯沼一喜社長(40)は危機感 ・・・
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