「頬に触れるとまだ温かかった」 青信号で事故死した小1男児の遺族が講演 “過信の危うさ”訴え 交通安全願い種まきも

スクリーンに映し出された謙真君の写真の前で講演する高田さん=15日、千葉市中央区の県警本部交通合同庁舎
スクリーンに映し出された謙真君の写真の前で講演する高田さん=15日、千葉市中央区の県警本部交通合同庁舎
植木鉢に朝顔の種をまく園児と隊員ら
植木鉢に朝顔の種をまく園児と隊員ら

 交通安全の意義を伝えようと、千葉県警交通機動隊は15日、9年前に事故で小学1年生だった長男を亡くした被害者遺族である高田香さん(50)=東京都足立区=を招いて講演会を開いた。高田さんの長男が残した朝顔の種は交通安全を願う象徴として全国に広がっており、この日も講演後、隊員や保育園児とともに種まきを実施。「自分は事故を起こさないと過信している人に、どうすれば関心を持ってもらえるかが課題」と訴えた。

 高田さんの長男、謙真君=当時(7)=は2016年2月、下校途中の交差点で横断歩道を青信号で渡っている際、右折してきた2トントラックにはねられ亡くなった。運転手の不注意が原因だった。

 講演会は隊員を対象に実施。高田さんは、謙真君が亡くなった直後を振り返り「小さな顔に人工呼吸器をつながれ、目をつぶって上を向いていた。頬に触れると柔らかくてまだ温かい。本当に亡くなってしまったのか、夢か現実かわからなかった」と、当時の思いを赤裸々に語った。

 謙真君は事故前、朝顔の種を玄関付近の台に隠していた。いたずらだったというが、事故後に種を見つけた高田さんは「謙真が残してくれた」と考え、通学していた小学校に寄贈。謙真君が残した朝顔の種は交通安全のシンボルとして各地で栽培されてきた。

 講演後には、隊員から交通安全の指導を受けた「なのはな保育園」(千葉市美浜区)の園児8人が、隊員と一緒に植木鉢に朝顔の種を植え、悲惨な事故が繰り返されないことを願った。高田さんは「謙真が残した朝顔の種はたくさんの花を咲かせてきた。朝顔を見て、今日も焦らないで交通安全を心掛けようと思ってもらいたい」と訴えた。


  • Xでポストする
  • LINEで送る