「どの球も腕を振って全力で投げられた。負けて悔しいけれど、後悔はしていない」。昨年甲子園出場校の木更津総合打線を相手に、序盤を無失点に抑える好投を見せた幕張総合のエース、鈴木雄大は、目を真っ赤に腫らしながらも、こう胸を張った。

　「五回まで２点差以内に抑えて終盤に持ち込めばチャンスがある」。試合前日のチームミーティングで、大塚仁巳監督は選手たちに目標を与えた。シナリオ通り、０－１の１点差で五回を迎え、六回も無失点に抑えた。しかし、七回に相手打線がさく裂し３失点を許したまま、反撃の糸口をつかめなかった。

　「高校まで投手経験がなかった」という鈴木だが、同学年に投手がいなかったこともあり昨秋から登板。直球と変化球のフォームが同じで打者を惑わす投球を武器に、冷静さが持ち味の２年生捕手、亀井謙二郎とともに守備の要を担ってきた。