新春詠 2023年 読者文芸

 千葉日報「読者文芸」欄の選者と2021年の全投稿者から選ばれた最優秀賞受賞者による新春をことほぐ俳句、短歌、川柳、詩を特集する。

【日報俳壇】

◆選者 増成栗人さん

明の春

筆硯洗うて年の改まる
一月一日落款の朱のうつくしき
安房小湊浦の百戸の明の春
菰巻の一幹ごとの淑気かな
遊びせむとて綿虫が肩の辺に
獅子舞のゆく里山の切通し
普段着で詣でて年を迎へけり
深呼吸せよ初富士を真正面
去年今年汚れの目立つ文机
人を恋ふ声かもふくら雀かも

 ますなり・くりと 1933年大阪府生まれ。俳人協会顧問、同千葉県支部顧問。千葉県俳句作家協会副会長。「鴻」主宰。句集に「燠」「逍遙」「遍歴」「草蜉蝣」ほか。流山市在住。

◆最優秀賞 鈴木裕さん

初明り闇を抜け来し大鴉
 ・・・

【残り 3054文字】



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