

千葉市動物公園(同市若葉区)のレッサーパンダ「風太」が5日、20歳の誕生日を迎える。背筋をピンと伸ばした立ち姿で一大ブームを巻き起こした風太も人間の年齢で例えると80歳以上の高齢者。ブーム当時は、大勢の来園客が押しかけ、来園者数が右肩下がりだった同園は一躍全国区に。当時を知る職員は「千葉市動物公園の知名度を上げた立役者」と振り返る。
風太は2003年に静岡市立日本平動物園で生まれ、04年に繁殖のため千葉市動物公園に引っ越してきた。人気者になったのは05年5月。立ち姿を新聞が取り上げたのをきっかけに、レッサーパンダ舎前には黒山の人だかりができるようになった。
「異常事態だった」。当時、広報を担当していた副園長の清田義昭さん(59)はそう振り返る。レッサーパンダ舎は、ゾウやキリンなど人気動物の展示コーナーに向かうルート上に位置し、ブーム前は「入園者はただ通過するだけでひっそりしていた」。同園自体も認知度が低く「市民でも知らない、行ったことがない人がいた」という。
風太ブームはそんな園の風景をがらりと変えた。早朝から入園待ちの行列、カメラを掲げて風太の立ち姿を待ちわびる大勢の人たち、マスコミからはひっきりなしに取材の依頼…。缶コーヒーのテレビCMにも出演した。清田さんら職員も「ここまで注目されるとは」と驚いた。
◆相乗効果で人気
実はレッサーパンダが立つことは珍しくない。樹上で生活するレッサーパンダは、餌となる果実などを取ろうと木の上で立って手を伸ばすという。
ただ、風太は背筋を伸ばした美しい立ち姿だったことが人気に火をつけた。清田さんは好奇心旺盛な性格が影響したとみる。「展示場の外を見ようと背伸びするようになったのでは。すると多くの人が注目していて、さらに興味を持って背筋を伸ばそうとする」。風太本人も、多くの人に見られる環境を楽しんでいる様子だったといい、来園者との相乗効果でますます注目度が高まっていった。
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