
船橋市のJR京葉線南船橋駅南口の市有地に11月、新商業施設「ららテラス TOKYO-BAY」が開業した。テナントは飲食店やスポーツジムなど36店で地元住民の日常使いを想定したコンパクトな施設。オープン前日の内覧会では、同じく三井不動産(東京)が駅北側で運営する国内随一のショッピングモール「ららぽーと」と比較してか、少し拍子抜けした様子の報道陣の姿もあった。
南船橋エリアでは来年春、船橋競馬場のリニューアルのほか、収容1万人規模の大型多目的アリーナの開業が控える。15階建てマンション2棟の建設も進み、注目が高まっている。
それだけに、ららテラスは大手紙や、商業施設の情報を発信する専門メディアが期待するような華々しさは欠いていたかもしれない。ただ、市内で暮らし、働く身だからこそ感じることもある。
オープンから約2週間後の夕方、ららテラスはスーパーマーケットを中心に、学校や幼稚園帰りの子ども連れが多く訪れていた。ららぽーととは少し違う客層。施設の規模や注目度で及ばずとも、気軽に日用品を求める近隣住民の需要に応えている印象を受けた。
近くのマンションに住む20代の女性会社員は「ららぽーとに行くには渋滞が気になるが、ここなら車を使わず来られる」と喜ぶ。確かに付近の道路は渋滞が深刻で、特に周辺施設の集客が多い土日は、混雑しやすい市内でもとりわけ、車で取材に向かうのを避けたい地域の一つだ。
もちろん長期的には、道路拡幅など抜本的な対策が求められる。ただ一朝一夕に実現するものではない以上、周辺住民の移動の手間を減らす新施設の建設は、市有地の使い道として納得感を抱いた。
メディアは、市外・県外から人の流れや関心を呼ぶ新奇性のある事業に注目しがちだ。一方で地元紙記者として、中核市のうち最多の64万人が暮らす船橋が、より快適に生活できる市となるよう、地に足の着いた街づくりこそ評価したい。
市内では南船橋の他にも開発計画が進む。海老川上 ・・・
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