

千葉市若葉区千城台南にあるサンドイッチ店「ファミリー」は昨年7月30日、一度店を閉めた。当時の店主、金子良次さん(73)が、約45年にわたり店を守り続けてきたものの「高齢になり体力的にきつくなった」。店の存続を願う常連客らが後継者を探す中、手を挙げたのが6年ほど前に千城台地区に移り住んだ長谷秀幸さん(40)だった。
長谷さんもファミリーの「シンプルだけど、奥深い味」のサンドイッチに魅了された一人。閉店の話を聞きつけて「千城台のシンボル的な店がなくなるのは寂しい。感動した味をなくしたくない」と店を継ぐ決意をし、9月5日に営業を再開した。
店を継ぐ前はハンバーガーショップに勤務していた長谷さんは「大将(金子さん)から1カ月間、みっちり指導を受けた」と振り返る。金子さんも「もう大丈夫。しっかり店を任せられる」と太鼓判を押す。
メニューは26品あり、販売価格は税込み220~370円。一番人気は定番の「玉子(たまご)サンド」(230円)で、金子さんから受け継いだ自家製マヨネーズにゆで卵を加えた具材がたっぷり使われている。
カツやハムカツ、フィレオフィッシュ、カレーコロッケ、エビグラタンといったサンドイッチもショーケースに並ぶ。生クリームとミカン、パイナップルを挟んだ「フルーツ」もあり「今の時期はやっぱりイチゴサンドが人気です」(長谷さん)。
長谷さんは営業を再開した日に客からかけられた言葉を胸に調理場に立っている。「ここがあると安心する」「店が開いていたのでUターンして買いに来た」。早朝からの開店に備え、日付が変わる時間帯から仕込み作業をすることもある厳しい仕事だが「ファミリーは地域に愛されていると思った。店を継いで良かった」と目を細める。
店の前の通り沿いにある商店街はシャッターを下ろしたままの店舗が目立っている。長谷さんは「元気に営業を続けて、商店街や千城台の活性化につなげたい」と力を込めた。
千葉都市モノレールの千城台駅から徒歩約5分。ピンク色のテントが目印のファミリーは2024年も午前6時から営業中。
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