2014年1月17日 10:38 | 無料公開
東京湾の環境調査や漁船の操業支援を行う県の調査・指導船「ふさなみ」の竣工(しゅんこう)式が16日、富津市内で開かれ、最新鋭の機器を搭載した新船がお披露目された。新たに海底地形の調査が可能となり、産卵場の保護や造成、魚介類に壊滅的な打撃を与える「貧酸素水塊」の対策に役立つという。
千葉県水産課によると、県はこれまで、1991年に竣工した安全指導船「ふさなみ」と小型の調査船「わかくさ」を保有していたが、老朽化が進んだため、2船の機能を新船に集約した。建造費は約2億1千万円。
新型「ふさなみ」は、全長20メートル、総トン数19トン、最大速力は20ノットで、定員は船員と調査員計12人。
東京湾は透明度が低く、ダイバーが潜っても海底地形の把握は困難だったが、海底地形調査装置を使用することで立体的に把握できるようになった。産卵場に適した場所を保護したり、良好な地形を再現して新たな産卵場を造成したりできるほか、酸素量が少ない「貧酸素水塊」が発生しやすい地形も把握できるという。
竣工式で、県漁業協同組合連合会の坂本雅信会長は「近年の東京湾は青潮の発生などかつてとは違う要素で漁業への影響が問題となっている。最新機器の搭載で漁業関係者への迅速な情報提供が可能になる」と期待していた。