市長公約を受け子ども医療費助成制度の対象年齢拡大を行わない方針を掲げていた柏市は3日、一転して同制度の通院助成対象年齢を現行の小学3年生から中学3年生までに拡大すると発表した。市は対象拡大の代わりに高額医療費を恒常的に負担する家庭への助成事業を検討してきたが、市民要望などから公約の内容を転換した。
財源不足を補うため自己負担額を200円から300円に引き上げ、小学4年生以上については所得限度額を給与収入換算で960万円未満とする県の基準に合わせた所得制限を設ける。実施は8月1日から。
制度拡大に伴い、事業費は扶助費年間約2億5500万円、郵送費などの事務費が900万円増額し、全体では年間約12億円になる見通し。新年度予算案には新年度の増額分1億3千万円を含む事業費11億1600万円を盛り込む。
市児童育成課によると、市はぜんそくなど慢性的な疾患で医療機関を利用する家庭への助成策を検討してきた。しかし、対象者の認定に時間が掛かることや、子育て世代のニーズ調査で多く上がった医療費助成対象の拡大を求める声の他、近隣市が拡大を行っていることから、今月中旬に方針の転換を決めた。
秋山浩保市長は昨年11月の市長選公約の中で、制度拡大を実施しない分、小学校教員の増員に予算を配分すると訴えていた。同12月議会でも「対象年齢の拡大はできない」と答弁していた。秋山市長は「学習環境の充実が児童のために良いと判断してきたが、市民感情などを踏まえた」とコメントした。教員の増員は行う方針だという。