2025年5月26日 17:51 | 無料公開

2024年9月に広島県廿日市市の冠遺跡から出土した多数の石器(国武貞克氏提供)
広島県廿日市市の冠遺跡から出土した旧石器時代の石器が放射性炭素年代測定の結果、約4万2300年前のものであると、発掘調査を実施した奈良文化財研究所(奈良市)の国武貞克主任研究員らの研究チームが26日、明らかにした。
2000年に発覚した旧石器捏造事件以後、日本列島への人類の到達時期は、後期旧石器時代に当たる3万8千年前ごろという説が有力。今回はさらに古い中期旧石器に相当し、通説が見直される可能性がある。
遺跡は廿日市市の標高約800メートル地点にある。これまでも石器が見つかっていることから、国武氏らが23年9月と24年9月に発掘を実施した。約3万年前の火山灰の層や、約3万6千年前の地層の下から、多数の石器を発見した。石器が見つかった地層に含まれる炭化物の放射性炭素年代測定で、約4万2300年前という結果が出た。
出土した石器には、先端をとがらせた「尖頭器」や、鋭い刃があり持ちやすいように加工した「クリーバー」と呼ばれるものが含まれる。