
厳しい言葉が続く。吉井理人監督は今年、開幕投手を務めた小島和哉投手についてメディアから質問を受けると大抵、厳しめのコメントを口にしている。
8月13日、チームは3対2と勝利。先発した小島は6回を投げて被安打5、無失点と好投し勝ち投手になった。それでも、試合後は「いやあ、もっとすいすい投げなくてはいけない。まだまだ。五回で100球近くいくっていうのは、ノックアウトも一緒。あんなことをしていたらダメ」と厳しい言葉を並べた。
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もちろん、これは期待の裏返し。投手コーチ時代には1年目からローテ入りさせ、今年は開幕投手に指名するなど、誰よりも小島の能力を高く評価しているからこその発言である。そしてコメントがメディアを通じて本人が目にすることになることも計算に入れている。
「もちろん、本人がワシの発言を目にすることを意識している。理解の材料にしてほしいとの思い。小島と種市には期待しているがゆえにコメントは厳しくなる」と吉井監督は話す。
小島もまた指揮官の気持ちを理解している。だから、いつも登板をしたら、寝る前にスマホでスポーツ記事を検索。監督のコメントを確認してから眠りにつく。
「いつもスマホでチェックしています。コメントは意識して見るようにしている。自分で考えている反省点と同じことも多い。どんなにピッチングが良くても必ず反省点はある」と小島。指揮官のコメントは決して長くはないが、その中に込められた意図を読み解き、自分のピッチングを振り返る。
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「残り試合、少ないですが、ここから自分が投げた時には勝てると計算してもらえる投手になりたい。ここからラストスパート。これまで球数や登板間隔など、色々と気を使っていただきながら起用をしてもらった。その期待に応えるためにも勝ちたいし、長いイニングを投げたい」と小島。
ペナントレースは残り27試合。佳境に入った。勝負の9月。優勝争いの決着の時は近い。今こそ背番号「14」が指揮官の期待に応えるマウンドさばきを見せる時だ。メディア対応で厳しい言葉を口にした後、監督室に戻った吉井監督は必ず言う言葉がある。「ちょっと小島に厳しすぎたかな」。その目は子どもの成長を見つめる父のように優しい。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)