中谷順子選 【日報詩壇】

 柿
    八街 江畑 隆博
秋になると思い出す
庭の柿の木に二つだけ
実が熟れて青空に映えた
くっきりと美しい
食べてしまうにはもったいないから贈ってあげようと
伊東屋で緑の小箱を買って
郵便局から母に気付かれないように そっと送った
僕はそれだけで幸せだった
いつまで待っても
返事はなかっ ・・・

【残り 1438文字】



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