「上限価格設けず公募」 入札不調で市が提案 松戸市立病院建て替え問題

 松戸市立病院の建て替えを議論する市議会特別委員会が10日開かれ、市は昨年実施した新病院の設計・施工を業者に一括発注した入札が不調に終わった経緯を説明し、今後の対応として「市が入札時の上限価格を設定せずに業者を公募する案」を示した。発注側の市ではなく、受注側の業者に契約価格を自由に提案してもらい、その金額に基づいて予算を組む異例の措置。

 市は昨年10月、同市千駄堀に建設する新病院の実施設計と施工を一括発注する公募型プロポーザル方式で入札を行い、同月中に3社から応募があった。だが、12月までに3社から実際に設計・施工を行った場合に「市の上限提示価格(134億円)を超えてしまう」との趣旨説明があり、参加辞退の申し出が相次いだ。背景に、近年の労務単価や建築資機材の高騰、消費増税前の駆け込み需要や東京五輪開催を見越した建設労働者不足などが考えられるという。

 そこで市は、上限価格をあえて設けない形での再入札を提案。同日の特別委では委員から「ゼネコンの言いなりになるのでは」「議会の承認がなく、予算の裏付けがない中で業者が応募してくるのか」「(建設費が大幅に増加して)新病院の経営が成り立たなくなるのでは」などと批判や疑念が噴出した。市は「建設費の高騰がいつまで続くのか誰も予想ができない中で、市が上限価格を導き出すことが難しい現状にある。今度こそは確実に契約を決めたい」と理解を求めた。

 新病院建て替えの総事業費は、今回入札が不調だった病院本体を建てる建設費に加え、用地費や機材整備費、周辺道路の整備費などを加えたトータルの試算額ですでに200億円を超えている。当初予定の2017年3月の開院時期も遅れが避けられない状況だ。


  • Xでポストする
  • LINEで送る