2014年5月26日 11:04 | 無料公開
作家の芥川龍之介が滞在したことで知られる一宮町一宮のホテル「一宮館」で25日、芥川らをしのぶ文学碑前祭が開かれた。町内外から約70人が参加。碑に献花、献句して、文豪・芥川が若き日の一夏を過ごした時代に思いをめぐらせていた。
芥川は1916年夏、友人の久米正雄と一宮館に2週間ほど滞在した。師と仰ぐ夏目漱石と書簡を交わしたり、後に妻となる塚本文に長文の恋文を書いたことで知られている。当時、芥川が過ごしたかやぶきの別棟「芥川荘」は国の有形文化財になっている。
一宮館は芥川の生誕100年を記念して91年、敷地内に文学碑を建立。地元の歌人、小高倉之助の短歌碑も建てて、2人をしのぶ碑前祭を毎年5月に開いている。
碑前祭は23回目を迎え、碑が建つ松林には芥川ファンらが集まり、恋文の全文が書かれた碑に花や歌を供えた。文芸評論家、鳥海宗一郎さんの「芥川龍之介と斎藤茂吉」をテーマにした卓話もあった。一宮館の女将、金沢悦子さん(73)は「1年に一度の文学の集い。芥川の世界に思いを寄せる機会なので、今後も開催していきたい」と話していた。