

英国・リバプールで8月に行われた2023世界バトントワリング選手権で、本県のクラブ「クリアバトン」(中村珠里代表)に所属する上田琉楓(浦安市立明海中学3年)が、男子ジュニア部門の「アーティスティックトワール」で初優勝した。念願の世界の頂点に立ったが「来年の世界選手権でも優勝したい」と早くも連覇に向け闘志を燃やしている。
上田がバトンを始めたのは4歳。「四つ上の姉がバトンをやっていたので、自分もやってみたいなと思って」と、地元のクラブに入った。小学校へ入学すると千葉、浦安、印西、四街道市などを拠点に活動し、国内外の大会で数多くの受賞歴があるクリアバトンへ入門。
入門当初から上田を指導している渡辺翔史コーチによれば「最初は体が硬くて、ベソをかきながらストレッチをしていた」が、練習は欠かすことはなかった。3年生で全国大会に初めて出場し8位、4年生で4位となるなど急速に頭角を現し、昨年は世界大会に初出場しジュニア部門で4位に入賞。「結果には納得したけれど、演技の最後の技でバトンを落としたのが悔しかった」とリベンジを胸に練習を重ねてきた。
「順位ではなくて、自分が納得のいく演技ができるかにこだわりたい」と臨んだ今年の大会だったが、初日の準決勝でバトンを投げている間に前方倒立3回転をする大技の「ウォーク」を緊張から失敗してしまう。
演技後に中村代表から「まだ体が動いていない」と指摘された上田は、「自分なりにできていたと思っていたけれど、先生に気付かされた。いい形で大会を終わりたい」と気持ちを切り替えることができた。
翌日の決勝ではすべての技を成功させ1分45秒の演技時間を終了。「今年はちゃんとフィニッシュを決められうれしかった。自分では分からなかったけれど、決勝も緊張していたみたいで、演技が終わった時の観客の拍手が凄かったのを後で見た動画で気付いた」とほほ笑む。
高校に進学してもバトンは続けるという。来年はスウェーデンで開かれる世界選手権で連覇を狙うが、3月に名古屋での日本選手権で世界への出場権を獲得しなくてはならない。
「日本のバトンのレベルは世界でもトップクラスなので、まずは日本で勝たないと」と表情を引き締めながらも「大技が大好きだから、どんどん決めていきたい」と目を輝かせる。世界王者となっても立ち止まらず、より一層の成長を目指している。