石破茂首相は「コメは買ったことがない」と発言した江藤拓農相を更迭する方向で調整に入った。政権運営への影響を懸念し、続投方針から一転した。複数の関係者が２０日、明らかにした。立憲民主など野党５党は、国対委員長会談を国会内で開き、江藤氏の交代を要求していた。２１日午後の党首討論までに具体的な動きがなければ、農相不信任決議案の提出を検討することも確認した。辞任した場合、昨年１０月の石破内閣発足後、衆院選の落選者を除き閣僚辞任は初めて。

　公明党の西田実仁幹事長は２０日、自民党の森山裕幹事長と東京都内で会談し、江藤氏の発言に抗議した。６月の都議選や夏の参院選を控え、与党内には危機感が広がっていた。

　少数与党の石破政権下で、野党が不信任案にまとまって賛成すれば可決される可能性がある。

　首相は２０日の衆院本会議で「消費者、生産者双方に配慮を欠き、極めて不適切な発言だった。任命権者は私であり、深くおわびする」と述べる一方、「米価高止まりなど農政の課題が山積する中、今まさに全力を挙げるべき時だ」と更迭を否定した。