中谷順子選 【日報詩壇】

夏空の哀しみ 香取 名上敬子

休日の信号待ち
少年が一人 眉間に皺寄せ
重そうに何かを引きずり歩
く 追い越しざま
目を疑う光景 少年の
手が握るのはタヌキの足
ヒトの都合で住処を追われ
危険と隣り合わせ
突然死 見向きもされぬ骸
正義に突き動かされた真心は まるで
弟の手を引くみたいに
唇を真 ・・・

【残り 1433文字】



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