中谷順子選 【日報詩壇】

 鯖 千葉 北浦久子

朝、目が覚めたら
電話帳上に一匹の鯖がいた
青い海の色の背に
黒い縞模様が鮮やかだ
目が少しうるんでいた
急いで裏口を出て鯖を放す
鯖は本能的にか
海のある方へ躙り寄り敷地
から転げた 下は紅葉樹の
林の中 落葉の上だった
かさこそ鯖の歩みはのろい
いったん川へ出てから海だ
途中ハクビシン等に喰 ・・・

【残り 1524文字】



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