2010年5月20日 15:18 | 無料公開

山高き故に尊からず-とは,こういう里山を言うのかも知れない。山の名は「三舟山」。文字通り「みふねやま」と呼ぶ。その名の通り、遠くから眺めると、小舟をひっくり返したような形をしている。標高は138mだが,れっきとした房総丘陵の山の一つである。
JR内房線の君津駅で下車。南口から歩き出す。三舟山はちょうど南に位置している。コンパスの針を合わせて一路山へと向かう。
駅からしばらくは街中歩き。間違えないよう地図を確認しよう。やがて古い街道を意味する「房総往還」の道標が出てくる。初冬や早春、ツツジの季節はさぞ素晴らしいハイキングになるだろう。わたしたちが歩いたのは5月半ば。新緑が一段と濃くなって、万緑の山からは初夏のにおいがしてきた。苔むす石仏や古い道標が往時をしのばせる。このあたりは永禄10(1567)年の室町時代、地元の里見氏と北条氏が血で血を洗う合戦を繰り広げた古戦場だ。
駅から約2時間でクヌギやコナラ、サクラに囲まれた山頂。間伐材を利用したという展望台があり、小糸川流域の富津岬や東京湾アクアライン、横浜市街が見渡せた。
帰りは郡ダムまで足を延ばそう。ぐるり回るとちょうど4時間。手ごろなハイキングには最適だ。(記:三木 雄三)