60万都市のリーダーを選ぶ船橋市長選が14日告示された。4候補は同日選挙事務所や駅前でそれぞれ第一声を上げ、有権者に支援を呼び掛けた。市政の安定を掲げ「3期12年」の公約を破棄した藤代孝七氏(66)に対し、野屋敷いとこ(58)、門田正則(62)、仁木利則(57)の新人3氏が現市政批判を積極展開した。
■「最後の奉公」 藤代孝七候補
藤代候補は、市場2の選挙事務所前で出陣式。支援者を前に壇上でマイクを握り「初出馬の際、公約に『3期12年』をうたった。諸問題が混迷する中、思い悩んだが最後の奉公と考えた」と決意表明した。
公約違反への批判については「(4期目は)課せられた使命。理解してほしい」と訴え。
リハビリテーション病院の開設や小学校での英語教育など、経験と実績を積極アピールし、市立医療センターへの交通手段として「オンデマンドバス方式を考えている」と新たな構想も披露。「厳しい経済状況下だが、やるべきことはやる」と力強く語った。
会場には自民、公明、民主各党の国会議員や県議らが多数応援に駆け付けた。
■「船橋をチェンジ」 野屋敷いとこ候補
野屋敷候補は、東葉高速鉄道北習志野駅近くの商店街で第一声。集まった支援者らの前で、「船橋市職員の給与は日本一高いのに、昨年、市職員の不祥事が相次いだ。この辺で船橋市をチェンジ、変えていかなければならない」と市政刷新が必要と強調。
「当選したら自ら身を削って模範を示し、職員給与も見直す」と、公約にする市長給与削減と退職金廃止をアピールした。
会場には政策集団「日本の夜明け」の渡辺喜美元行革相と江田憲司衆院議員が駆け付け、「市民目線の野屋敷候補が市長になれば、船橋が変わり、日本が変わる」と応援演説。
その後、電車を使ってJR津田沼、船橋、西船橋駅前などでも訴えた。
■「2期8年が理想」 門田正則候補
門田候補は、JR船橋駅北口で第一声を行った。支援者たちが「市長は2期8年!」「10%減税」など公約を記した30本ののぼり旗を持ち、見守った。
門田候補は「今回の争点は公約違反の4期16年の現職を選ぶのか、新しい市長を選ぶのか。権力は10年で腐り、組織はトップから腐る。2期8年が理想的だ」と指摘。
市長の退職金にも触れ「1期4年で2800万円もらえる。今若い世代が共稼ぎでも500万円もらえるかどうか。これはおかしい。私は退職金はいらない」と明言した。
小中学生医療費の無料化なども掲げ「コスト削減すれば実現できる」と主張。「夢があるまちづくりを実現したい」と呼び掛けた。
■「暮らしと福祉優先」 仁木利則候補
仁木候補は、二和東6の選挙事務所で出発式を開催。共産党の県議や市議、次期衆院選立候補予定者らが応援に駆け付けた。
応援演説の市議らは「国や県のいいなり」「市民より国の方向ばかりを向いている」「大型開発優先」などと口々に現市政を批判。仁木候補も「福祉予算がこの10年で10数億円も削られ、市民に冷たい市政になった」と指摘すると、「財源は十分にあり、後は施策次第。市民の暮らしと福祉を最優先にして、子育ても老後も安心な船橋をつくるために全力で頑張る」と決意を表明した。
選挙カーに乗り込んだ仁木候補は拍手に送られて事務所を出発。市議と一緒に駅前や団地などを回って、支持を訴えた。